3.介護向け外国人の主な国籍と特徴

 

日本の介護分野で活躍する外国人材の中でも、ベトナム、インドネシア、ミャンマーからの人材は特に注目されています。各国の文化や国民性は、介護職における適性や働き方に影響を与えるため、理解しておくことが重要です。以下に、各国の介護職人材の特徴を詳しく説明いたします。

 

1. ベトナム人介護職人材の特徴

 

文化的背景と国民性

  • 漢字文化圏: ベトナムは漢字文化圏に属しており、漢字に対する親しみがあります。そのため、日本語の漢字表記にも抵抗が少なく、学習において有利とされています。
  • 真面目で勤勉: ベトナム人は真面目で勤勉な国民性を持ち、手先が器用なことでも知られています。特に若い世代は、家族を支える意識が強く、仕事に対して熱心に取り組む傾向があります。
  • おおらかで優しい性格: おおらかで楽観的、素直で優しい性格の人が多く、親しみやすい国民性を感じられます。

言語能力

  • 日本語学習: ベトナム語の発音は日本語と異なるため、発音習得に時間がかかる場合があります。しかし、漢字に対する理解度が高く、読み書きにおいては強みを発揮します。

宗教と文化

  • 宗教: 国民の約80%が大乗仏教を信仰しています。仏教の教えに基づく思いやりや敬意を重んじる文化が、介護職における対人サービスに適していると考えられます。

介護職への適性

  • 手先の器用さ: 縫製や刺繍など、手先の器用さが求められる作業を得意とするため、細やかなケアが求められる介護業務にも適性があります。
  • 家族志向: 家族を大切にする文化が根付いており、高齢者への敬意や思いやりを持って介護に従事する姿勢が見られます。

 

2. インドネシア人介護職人材の特徴

 

文化的背景と国民性

  • 宗教: インドネシアでは、国民全員が何らかの宗教を信仰しており、約87%がイスラム教徒(ムスリム)です。宗教的な習慣や戒律が日常生活に深く根付いています。
  • 温厚で明るい性格: 温厚で明るく、争いを好まない性格の人が多いとされています。人前で注意されることに慣れていないため、指導の際には配慮が必要です。
  • 若い人口構成: 人口の約50%30歳以下であり、若くて活力のある人材が豊富です。

言語能力

  • 日本語学習者の多さ: 日本語学習者が多く、インドネシア語と日本語の発音が近いため、日本人にとって聞き取りやすい日本語を話すことができます。ただし、漢字の習得には時間がかかる場合があります。

宗教と文化

  • イスラム教の影響: イスラム教徒が多いため、礼拝の時間や食事(豚肉やアルコールの禁止)など、宗教的な習慣に配慮する必要があります。職場での理解と協力が求められます。

介護職への適性

  • コミュニケーション能力: 明るくフレンドリーな性格から、利用者とのコミュニケーションを円滑に行うことが期待できます。ただし、指導や注意の際には、個別に穏やかに行うことが望ましいです。

 

3. ミャンマー人介護職人材の特徴

 

文化的背景と国民性

  • 宗教: 国民の約90%が仏教徒であり、仏教の教えに基づく思いやりや敬意を重んじる文化が根付いています。年長者を敬う習慣が強く、介護職に適した国民性といえます。
  • 感情を表に出さない: 大きく感情を表に出すことが少なく、穏やで誠実な態度を持つ人が多いとされています。この特徴は、介護の現場で冷静かつ丁寧な対応が求められる際に特に役立ちます。

言語能力

  • 日本語習得の挑戦
    ミャンマー語は日本語とは言語構造が大きく異なるため、日本語学習には比較的時間がかかる場合があります。しかし、真面目な性格から努力を重ね、日本語能力試験(JLPT)の合格者も増えています。
  • 発音の明瞭さ
    ミャンマー語話者は日本語の母音に近い音を持っており、日本語の発音を習得しやすいという特性があります。

宗教と文化

  • 仏教の影響
    仏教の教えを基盤とする文化が根付いており、相手を敬い、相手の立場を考える精神が強いです。このため、高齢者との接し方が非常に丁寧であることが期待できます。
  • 伝統的な家族観
    ミャンマーでは家族を支えることが社会的に重要と考えられており、介護職のように他者をサポートする仕事に対して強い動機付けがあります。

介護職への適性

  • 忍耐強さ
    ミャンマー人は忍耐強く、責任感があると言われています。介護現場での業務の中でも、困難な状況に対して冷静に対応することができます。
  • 周囲との調和を重視
    チームの一員として働くことを重視する文化があるため、職場のチームワークを促進する役割を果たすことが期待されます。

 

4. 各国の共通点と相違点

 

共通点

  1. 高い家族志向
    ベトナム、インドネシア、ミャンマーのいずれの国も家族を大切にする文化があり、高齢者への尊敬心や思いやりが介護職に適しています。
  2. 真面目で勤勉
    どの国の人材も、真面目で責任感を持ち、業務に取り組む姿勢が評価されています。
  3. 対人スキル
    明るく親しみやすい性格が多く、利用者とのコミュニケーションを円滑に行うことが得意です。

相違点

  1. 宗教的背景
    • ベトナムとミャンマーは仏教が主流であり、その教えが思いやりや礼儀に反映されています。
    • インドネシアはイスラム教が主流であり、宗教的な習慣(礼拝、食事など)への配慮が必要です。
  2. 日本語の習得度
    • ベトナムは漢字文化圏に近いため、日本語の読み書きに強みがあります。
    • インドネシアとミャンマーは発音の明瞭さで日本語学習の利点がありますが、漢字の習得には時間がかかる傾向があります。
  3. 職場での対応方法
    • ベトナムとインドネシアでは比較的指導を柔軟に受け入れる姿勢があります。
    • ミャンマーでは注意や指導の際、個別対応が好まれる場合が多いです。
  4. 定着度
    • ベトナムは需要が高いため、日本国内への来日後比較的短期間で都会への転職を目指すケースが多くあります。そのため、その対策として給与水準を上げる、わがままを聞く等の対応が必要になります。またそもそも地方都市では応募がないことも多くあります。
    • インドネシアは現在最も需要と供給のバランスが取れています。需要が増えてきていますが、供給も十分にあり、マッチングしやすい国籍です
    • ミャンマーはこれから需要が高まる国です。しかし、現地では日本で働きたい人材が数多くいます。いま一番地方都市でも高いスキルとパーソナリティをそなえた人材を取りやすい国籍です。

 


5. 情報源

 

以下のリンクからさらに詳細な情報を確認いただけます:

 

  • 介護業界における外国人材の特徴(ケア情報)
  • 外国人介護人材の現状と課題(厚生労働省)
  • ミャンマーからの介護職人材(外国人介護人材ネット)